弊社スタッフが交替でお届けする、ときに鋭く世相を斬り、ときに緩やかにあなたを癒す珠玉(?)の時事エッセイ。お仕事中の息抜きなどにお読みいただけたら幸いです。

2008/07/01 第04回  日本の教育

自民党留学生等特別委員会は、「国家戦略としての留学生300,000人を目指して」とする提言を「骨太2008」に反映するよう提出する。との記事に接した。
2013年に海外から300,000人受入れ、「留学生300,000人計画」として、材料科学、物理学、電子工学分野において優秀な人材を獲得し、国際競争力を図りたい。その為の大学づくり、生活基盤整備をして安心して学べる環境整備をする。(日本版British Council整備)
尚、日本人300,000人に海外留学を促したい、と付記されていた。

2007年、戦後、憲法より前に制定された教育基本法は、まだまだ不十分な内容であるが、安倍政権によって改正された意味は大きい。
「教育」とは子供を立派な大人にするための教育である。知識を求める以外に道徳心や公共の精神のもとにある「宗教的情操」の必要性が今ほど問われている時代はない。
現実には、少子化時代であるが故に教育予算を減らし、なすべき問題を山積みしている。
今回の提言に、日本の教育に現状認識があったとは、到底思えない。

今日の子供達の理工系離れ、益々減少して増えない子供達の代用として、外国人留学生の能力を充当するという考え方は、外国人労働者の積極的受入れ思考と一致する。(50年間に1,000万人ですって!?)これら実施に、どれ程の税を充てるのでしょうか?
その上、日本人も300,000人海外留学しなさいと促す。驚きである。
日本の教育実態で、海外留学してスキルアップ可能な人材を育てられているのですか?
米国の名門大学ハーバードに留学している日本人は130数名。この少ない人数には言葉の壁があるという。この現実と300,000人をどう関係づけますか? どう理解したらよいでしょうか?
危機的な少子化と教育は不可分の関係で、そこに国家戦略としての策が今回の提言ですか?

日本の教育の在り方を真剣に論じ、日本の教育の質的向上を目指す動きのプロセスにおいてのみ、当該提言は現実味を帯びるのである。

今から90年前(1918年、大正7年)、教師の質的向上を目指す目的で、当時のお金、30万円の基金を集め、国民教育奨励会という団体を作った人がいた。
「教育の最も有効なる期間は、何と言っても、所謂、小学教育の時期にありと考えた。而して、その小学教育を善き方にも悪しき方にも、導く力を持っている者は小学先生達である。それで、国民教育を物にするには、何よりも先ず、小学生たちを物にせねばならぬというが、予の意見である。言い換うれば、国民教育の要は小学教師を教育するに在り。一個の小学先生の国家にとって重大な役目は、長き眼から見れば、あるいは一国の総理大臣とも思われた。従って我が文部省の官僚的、形式的、文書的、統計的、数学的、機械的の遣り口には、衷心より憤憾を感じていた」
(徳富蘇峰、終戦後日記から)