弊社スタッフが交替でお届けする、ときに鋭く世相を斬り、ときに緩やかにあなたを癒す珠玉(?)の時事エッセイ。お仕事中の息抜きなどにお読みいただけたら幸いです。

2008/12/01 第09回  日本の心棒

コラム「築城通信」は早いもので数えて第9回になりました。
翻訳ドキュメンテーション会社の事業内容から離れ、個の眼でこの年を視て来ました。取り挙げてきたテーマは何れも重いもので、お読みいただいた方々には様々な感想、ご意見があると存じますが、書き手の一方的思考の為せることとして、心の隅にでも措いていただけたら幸いです。

2008年最後の回は、米国発金融危機を外しては考えられません。 これは、米国経済システムの綻びであり、米国に止まらず全世界に負の影響を与え、特に実体経済中心の国々をも大きく傷つける結果となりました。それでも尚、人類の生存に不可欠な米国の存在に依存、回復を願わざるを得ない現実に、複雑な思いを抱かざるを得ません。

戦前の欧米金融寡頭勢力は、その強大な力で金のために激動の世界を創造してきました。現在も形は変化しつつも温存され、その力は政治をも変えてしまう影響力を持っています。米国の金融界はリスクを隠し、新しい商品を金融工学理論(ノーベル経済学賞受賞)を基に創作、クラスター爆弾のように拡散するシステムを構築し大儲けしました。破綻を見越した経済学理論(ノーベル経済学賞受賞)も用意する程、何でもありの自由主義国家米国であります。自省する片もありません。
乗り切る為に超債務国でありながら価値の低下したドル札を大量に刷り、日本、中国、EU他の国々が、実体経済で汗して働き得た価値ある資産と交換し再建に供するのである。これは一種の合法的システムであるが、マネーロンダリングではないでしょうか。
金融危機が一時的に終息しても、米国は新たな金融システムを創り出さざるを得ず、将来に禍根を残すことになるほど、此度の金融危機は根が深く広いと考えます。

日本国の2008年は、米国の自由主義的気質と気脈を通じた人々が心棒を欠いたまま、戦後日本の指導的役割を演じ、長い時空を先導、今日社会の隅々で歪みを噴出させた年でした。
歪みをテーマとしてこの欄で取りあげて来ました。2009年は世界的な恐怖社会の因の除去に向かって、米国の一極覇権主義から多極化時代となるでしょう。衝突する場面が起こり、それの調整システムが構築されていけば世界平和に牛歩の如く、一歩踏み出せるのではないかと希っています。それに対し日本国は、貢献しなくてはなりません。
その基になる“心棒”をどうして探り当たら良いのか、考える年にしたいと思っています。