弊社スタッフが交替でお届けする、ときに鋭く世相を斬り、ときに緩やかにあなたを癒す珠玉(?)の時事エッセイ。お仕事中の息抜きなどにお読みいただけたら幸いです。

2009/02/02 第12回  オバマ大統領と日本


2009年1月20日、アメリカ合衆国第44代大統領にバラク・フセイン・オバマ氏が就任した。冷戦後、一極覇権国として世界に大きな影響力を行使してきた米国は、いま起きている大きな危機の回復において、すべてに係って解決への道を自らがつけなければいけない立場にある、大難局の時期に就任したのである。
年棒3600万円を意識しては責務を全うする事はできない。では何故大統領に!
大統領の支持率はJFKの71%に次ぐ68%と高い。就任演説は具体的内容に乏しいが米国民の情(こころ)に響く格調高いものだろう。海を越えた日本でも多くの人が感動をもって演説に触れたらしい。確かに日本人の感覚とは違う!(ライターは弱冠27才ですって!)
オバマ大統領を語る時、異例づくめである。表面的なことは触れるまでもないが、この難局を乗り切るリーダーとして、オバマ大統領以外には存在しないという事実は、選挙で勝ったというだけでは説明がつかない。

(在米国際政治アナリスト伊藤貫氏はバラク・フセイン・オバマ氏の人となりを分析している)『コロンビア大学時代までは、人嫌いで孤独な青年、友人一人も作らず、誰とも口を利かず、思想書・歴史書を濫読、同級生で憶えている人は皆無。しかし3年後ハーバード大学ロースクール進学時には、強い目的意識を持った野心家に。大学内での保守派・中道派・リベラル派のすべてに対して同調もしくは共感するような態度をとりながら、決して本音を見せない全く違った人物になっていた。常に社交的であらねばならぬ職業である政治家を目指すことを決心したのは不思議!』(オバマ大統領の出自、育ち、そしてコロンビア大学卒業とハーバード大学進学との3年間にその鍵がある)
まとめると
・本音と本性を隠し続けることに成功した政治家。
・常にクールで、慎重で「周りの空気」に決して左右されない。
・過去17年間の政治活動において、強烈な野心を隠しつつ、「大統領選挙」に勝つということだけに精力を集中してきた。
・非常に計算高く、企画力に優れ、忍耐力の強い男。
・イリノイ州議会議員時、ローカル政治にほとんど興味示さず、一刻も早く連邦議会へ移ることを常に画策していた。
・43才で連邦議会の上院議員になると、早くも翌年には大統領選挙出馬のための組織づくりと資金集めを開始する。
・いつもクールで物腰やわらかく「理性派の政治家」でアピールする。実は非常に大胆で挑戦的、面の皮が厚い男である。等々オバマ大統領の人となりを分析している。

オバマ政権を支える閣僚、ホワイトハウスの主要顔ぶれは、一癖も二癖もある人物でクリントン政権時代の重鎮、経験者を主体に揃えた。そして、これらの人物を束ねるには前記の人格で、狡猾で人を操つれる男、バラク・フセイン・オバマ氏以外にはいない。
オバマ政権での経済、安保、エネルギー環境のキーパーソンを分析すれば狙いに一つの志向が視えてくる。
財務長官ディモシー・ガイトナー(NY連銀総裁)→ローレンサ・サマーズ(第二期クリントン政権の財務長官)→ロバート・ルービン(第一期クリントン政権の財務長官)(2004年の大統領選挙でケリー候補の応援演説で彗星の如く登場した時より前に、バラク・フセイン・オバマに目をつけ、政治的投資をしてきた)
ロバート・ルービン→ゴールドマン・サックスと繋り、ロックフェラーⅣ(民主党)と繋る。(ロックフェラーⅣは日本留学の経験もあり、小沢一郎氏とも会っている。民主党小沢政権誕生の折はロックフェラーⅣ派である榊原英資氏が財務大臣候補と言われる)

大統領演説のなかで注目したところ2ヶ所。ひとつは「・・・これらの指標だ。もっと把握しにくいのは、失われた自信や米国の衰退が必至なのではないかという恐れなどが国家に広がっているのではないかということだ」米国は衰退が必至?と感じている大統領だが、CIA傘下の国家情報会議が正式に「米国では既に2020年代に第二次世界大戦後の世界秩序が跡形もなく消滅しているだろう」米国公文書で衰退、世界は多極化に移行するなどというのは禁句。とされていた。故に、重要なポイントです。(中西輝政氏論文から)
もうひとつ「多様性は強み」のなかで『我々の前に開かれた道を考えるとき・・・。アーリントン(国立墓地)に横たわる亡くなった英雄たちが時代を超えてささやくように、彼らも我々に何かを語りかけている。(・・・イラクやアフガンに派遣されている兵士に謙虚な感謝とともに思い出す。)彼らは私たちの自由を守っているだけでなく、貢献の精神や自分自身より大事な何かに意味を見いだそうとする意思を体現しており、我々は彼らを誇りに思う。現在の時代を定義するであろう今、この精神こそが我々みんなが持たなくてはいけないものだ』
この演説で我々日本人は何を感じたのでしょうか?全文を読んだ人がどれ程いるか解かりませんが、いまの日本人には、前大戦で軍・民あわせて300万人以上が亡くなり、その霊に対し、誇りすら感じず、犠牲になった、と自国と特定の人を責め、未だ南の島々には100万柱以上のご遺骨が眠っている事実を忘れ去ってしまう多くの日本人。
平和という教を唱えれば平和がやってくると考える日本人。
既に、世界は大きく変貌しようとしている今、日本人は自らが考え、自らが強い気概をもって行動する国にすべく、すべての日本人が意識改革をする唯一の機会である。
現下の日本国は100年に一度の経済危機ではなく、安全保障、政治、経済、社会、等々、近未来に至るこれからの国の容を創る分岐点である。

政治家・官僚は専門家を在野に幅広く求め、その言説に謙虚な姿勢で耳を傾けるべきである。
米国第44代バラク・フセイン・オバマ大統領政権は手強い同盟国です!