弊社スタッフが交替でお届けする、ときに鋭く世相を斬り、ときに緩やかにあなたを癒す珠玉(?)の時事エッセイ。お仕事中の息抜きなどにお読みいただけたら幸いです。

2009/11/02 第23回  日本の保守再生は?


広辞林に「保守」とは、「旧来の風習・伝統を重んじ、それを保存しようとすること」
「保守主義」とは、「原状維持を目的とし、伝統・歴史・慣習・社会組織を固守する主義」とある。
政権交代によって初めて誕生した民主党政権は、その体制づくりにおいてイギリスのそれを模したといわれる。議院内閣制、複数政党制、二院制議会など世界の多くの国家で採用されている制度は、イギリスで誕生したものである。イギリスの初代首相は1724年ロバート・ウォルボール、日本の初代首相は1885年伊藤博文であり、その時空差は162年、歴史の重みの違いは歴然である。日本で政権交代のチャンスと考えた民主党は、つけ焼刃的にイギリスの制度を学び、日本の政党としての思想など一切無関係に新たな政策をmanifestoとして打ち出し、政権を担って1ヶ月余突き進んできた。(明治維新に先進一等国から諸制度を吸収した先人には使命感があった)
イギリスと日本、決定的に違うのは「憲法」である。イギリスには成典化された憲法はなく、制定法と判例法及慣習法など様々な要素が合わされて憲法という。日本は占領軍によって作成された憲法を戴き、制定後今日まで国情の変化に関係なく半世紀以上も金科玉条化してきた。安倍政権時、国民投票法を制定して憲法改正への道を拓いたが今は死文化に等しい。
日本の政治を変革するという意味においては官僚の手から政治主導型に正す目標の選択は運用次第だがうまく機能すれば大変革といえるだろう。
ただ残念なことは、変革の手段とするmanifestoの実行を国民との約束事として単純に強進していることである。首を傾げる迎合主義であり、Index2009においては社会主義的政策である。数の力で強権を進める政権に歯止め策が視えず、先々に危惧を抱くのは少数派でしょうか。民主党連立政権は保守にあらず。

民主党に大敗し、惨めな姿となった自由民主党(自民党)は1955.11.15保守合同によって誕生した。初代総裁は鳩山一郎である。結党時の政策綱領には『平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅守しつつ、現行憲法の自主的改正をはかり、また占領諸法制を再検討し国情に即してこれが改廃を行う。世界平和と国家の独立及び国民の自由を保護するため、集団安全保障の下、国力と国情に相応した自衛軍備を整え、駐留外国軍隊の撤退に備える』とある。保守である自民党はこれを実現する努力を怠り、経済成長にのみ権力を傾け反対勢力の社会党と慣れ合って、今日の日本の姿に変形させてしまったのである。
自民党がもう一度国政を担う為には、結党時の精神に戻り自らを変革すること以外に選択肢はない。現状では民主党との違い何処にあるの?先細りの予感は消えない。

10月15日靖国神社大祭で自民党谷垣総裁は神社に参拝した。(自分の起ち位置で信念を曲げることなく、貫け!)
先の大戦の敗戦直後、連合軍総司令部(GHQ)内部に"靖国神社は焼き払うべきだ"という意見があった。それに対して当時の駐日ローマ法王庁バチカン公使代理だったブルーノ・ヒッテル神父は『いかなる国家もその国家のために死んだ人々に対して敬意を払う権利と義務があり、これは戦勝国か敗戦国かを問わず平等の真理でなくてはならない』とマッカーサー元帥に献言、焼却を思いとどませることに尽した。現在、この日本が平和な国として在るのは、先の大戦で海外で戦死した240万余の英霊をはじめ、多くの日本人の死という悲惨な真実のお陰であることを、日本人のidentityとしなければならない。その英霊を祀る靖国神社に総理が参拝することを何故反対する。又何んで躊躇う!
そして、日本のこども達の心から保守を奪う歴史教育の元凶は近隣諸国条項にある。又、村山談話に呪縛され続ける日本、歪んだ歴史観は歪んだ利害関係となって同盟国アメリカをはじめ中華人民共和国、韓国と真の友好関係を構築できないでいることは、すべて日本に真の保守が育っていない証である。自民党にも民主党にも真の保守人は僅かであるという分析は誠に憂うべきことである。

核廃絶、温暖化CO2排出削減推進に日本人の誰が反対するでしょうか。政党に関係なく世界に発信できる日本の方針である。しかしこども手当、高速路無償化、公立高校授業料無償化、ダム工事の凍結中止等々は国内的政策であり、議論百出あってよい。これは日本が当面抱える諸問題への特効薬に過ぎず、将来日本のあるべき姿・容に繋がるかと考えれば疑問ありの政策である。

日本国際フォーラム第32回政策提言「積極的平和主義と日米同盟のあり方」は全国紙に一面広告として掲載されました。(10月23日)
是非多くの方々に読んでいただきたい提言です。