弊社スタッフが交替でお届けする、ときに鋭く世相を斬り、ときに緩やかにあなたを癒す珠玉(?)の時事エッセイ。お仕事中の息抜きなどにお読みいただけたら幸いです。

2010/06/01 第30回  日本のリスク・マネジメントは?


日本の多くの企業は、日常の経済活動において発生しうるリスクに対し法令遵守は勿論のこと、規程を作りマニュアル化等を推め、リスク要因・潜在するリスク項目の想定をも含め危機管理体制を構築している。
リスク発生時の対応スピードがその後の処置を左右する為「初動の重要」との認識のもと、リスクに対する対処方法が組織の誰もが確認できるようにしたリスク別フローチャートを職場の最小単位各に備えている。
企業は存続しなければならない。国家とて同様である。リスク発生時の迅速で適切な対処を誤まれば、企業は存亡の危機に陥るのである。国家とて同様である。

翻って、日本国のリスク・マネジメントはどうなっているのか?
宮崎県に発生した家畜伝染病"口蹄疫"問題は、宮崎県はもちろんのこと、周辺地域に大きな絶望的危機感を与えている。口蹄疫の発生は宮崎県に初めて発生したのではなく、日本でも海外でも既に経験済みである。今回の問題は3月に豚に口蹄疫発症例が報告されていた。これは、発生した畜産農家の問題ではなく、社会全体で対処すべき危機であったのだ。従って県・国一体となって迅速に対処しなければならなかったのに「初動の重要性」を共有していなかった。リスク・マネジメントの欠如である。
特に国の行政府及所轄官庁に、当事者ではないという潜在的意識があって、過去のリスクに対しても常に後手後手であったように初動の重要性の認識に繋がることがなかったのである。
赤松農水産相の無責任な言・行動は、混乱を招く諸問題の本質である。
(※Will-2010年7月号、江藤拓衆議院議員の現地報告文「危機管理能力ゼロ 宮崎口蹄疫を見殺しにした赤松農水大臣」は、胸の詰まる思いと大いなる義憤を感ずる。多くの方に一読して欲しい。)
いっ時も早い感染の終息を心から願ってやみません。
国内で解決できるリスクに対し、潜在するリスク項目を認識し、国及び官民あげて万全な危機管理体制を構築、あるいは見直しをしなければならない。
そこに必要な条件は、人として情理を尽くす精神の回復である。

現在、国の最大のリスク・マネジメントは、国防安全保障問題にある。
沖縄県普天間米軍基地移設問題の混迷は、日本国の国防安全保障に対する確立した心棒が存在しない事に起因する。その上に国の最高責任者鳩山由紀夫内閣総理大臣の日本国の将来をどういう容、姿にしたいかという理念の欠如である。(首相のみならず多くの国会議員をはじめ日本人に突きつけられた現実であろう)
韓国の哨戒艦が北朝鮮の魚雷攻撃で撃沈され46名の兵士が犠牲になった。朝鮮半島の危機は日本国を無縁とはしない。又、中国海軍による日本周辺海域における活発な出動は、日本国への意図的、挑発行為である。
これは、米軍の抑止力を削ぐかの如く、日米同盟を軽視してきた民主党連立政権の言動に起因する。嘗て、米軍がフィリピンから完全撤退した時から、中国はフィリピン、ベトナム海域で侵略的行為を繰返し、他国の島を実効支配してきた経緯に通じるものがある。
自国の領土と宣言するだけで行動に移す海洋覇権への道を突っ走っている国が中国である。日本国はこの中国の経済成長戦略の影に潜む、不気味な国家戦略を正しく捉え、リスク・マネジメントの必要性を認識しなくてはなりません。
日本と中国に領海問題が、韓国とは領海、領土問題が存在している。日本とロシアの間は領土問題が存在している。
日本国の国防安全保障に自国で自領を守る国家意識はない。これは戦後、占領期は勿論のこと、その後も教育の在り方の左傾化が国家意識を喪失させ、安全保障を米国軍の抑止力に依存してきた結果、すべてのリスクに対処できない精神的構造をつくり出して来たのである。
(横浜教組の採択決定歴史教科書の排除行動など、民主党連立政権の支援者日教組の行動は目に余る)日本の教育の危機は常態化しているのである。

これからの日本は、どんな道を歩んだら良いのでしょうか?
これにも、度々申している通り、過去の歴史を正視することが思考の原点である。

戦後65年、5月18日、国民投票法が施行された。3年前安倍晋三元首相の下で法案が成立したことは、日本にとって意義深い快挙だったのであるが、その後施行までの三年間、日本人の意志で憲法改正できるようになったのに、憲法審議会で一回も審議せず放置、時を無駄にして来たのである。現行日本国憲法の制定過程、サンフランシスコ講和条約、そして日米安全保障条約の締結、そしてその後の改定と日本の独立性を徐々に進めて来た足跡は、岸信介内閣迄で以降は足踏みした。日本人の忍耐と気骨が視えたのも、そこまで。

嘗て、吉田茂は憲法改正について(主に第九条)何時かは改正しなくてはならぬが、「憲法というものは、国の基本法として制定された以上、たとえ与えられたものであっても5年や10年でそうやすやすと改正されるものではないんだ」と言っているが、これが60年以上も改正されていないいまの異状な日本を想像していなかっただろう。
又、新憲法下で最初に行われた総選挙で(S.22.4.25)社会党が93議席から143議席に伸ばし、吉田自由党は第2党となった。S.22.5.23片山哲を首班として社会党連立政権が成立した。この時、片山哲から自由党吉田は入閣要請されたが、吉田茂は「社会党内の左派に容共分子がいる」と断固として断った。今の日本社会は、吉田茂が言った容共分子の影響力が長い時空の間に社会に溶け込んで現状を創り出し、水と油が混ざり日本の目指した民主自由主義社会は民主社会主義社会へ変貌しつつある。(社民党は5月30日連立離脱したが民主党内には同根分子が大勢隠れている)(※容共分子については改めて記述する)

日本国の国防安全保障におけるリスク・マネジメントは、在日米軍と日本の自衛隊(防衛省)で協力して構築している事だけは断言できるのである。有事の際には確実に機能する!
危惧する点は唯一つ
日本人である自衛隊員に対し、多くの日本人、ましてや偽政者達の情意に敬意が欠落している事である。
たとえば、ハイチの大地震の復興に過酷な条件下で汗を流す若い自衛隊員を誇りに想う事もなく、口蹄疫問題で苦境にたっている最中に11名の国務大臣が外遊、なかでも所轄担当大臣赤松農水産大臣はキューバ、メキシコ、コロンビアを訪問するも目的は分からず、又、近くのハイチへ立ち寄って、隊員に激励と感謝の意を伝えることもしなかった。
彼の胸中には自衛隊のハイチ派遣は存在しなかったのである。他の偽政者にも共通している。

※S29年政界復帰した鳩山一郎(由紀夫首相の祖父)のスローガンは:
「友愛精神」「中・ソ連との国交調整」「堂々たる再軍備」(憲法改正)「積極財政」の4点であった。「友愛精神」だけは遺伝なのか?理解不能なスローガン。

※普天間米軍基地移設地は結果として先祖帰りして名護市辺野古へ、鳩山政権は大筋合意したが地元の合意を得る方策は果してあるのだろうか?
ここで提案
辺野古への移設実現は普天間基地の返還であり、広大な跡地に反対派住民を移住してもらう大胆な発想を実行する他なし。どの位の人が移住できるのだろうか想像して下さい。
住民の安全・安心に対するリスク・マネジメントである。
小手先案では問題の先送りである。
憲法改正は、国防安全保障におけるリスク・マネジメント構築の基礎条件である。