弊社スタッフが交替でお届けする、ときに鋭く世相を斬り、ときに緩やかにあなたを癒す珠玉(?)の時事エッセイ。お仕事中の息抜きなどにお読みいただけたら幸いです。

2010/07/01 第31回  日本の閉塞感は?


「日本人は健忘性である。●●●●●内閣が何をしたのか、また、日本のためにいかなる存在であったか、は、さらりと忘れてしまっていた。日本人の政治的責任感は、遺憾ながら、一般的に薄い。政治は結局国家の仕事であり、すなわち国民の責任であることは、いまだ十分に自覚されておらぬ。政治家も、一旦辞職すれば、責任は解除されるものと、簡単に考えている。日本人は、政治を見ること、あたかも芝居を見るがごとく、観賞はしても、自分自身が役者の一人であり、みずから舞台の上にある、ことを悟ってはいない。いかに手際よく、その日の舞台劇をやって見せるかに腐心することが、また政治家であって、国家永遠のことを考えうる余裕を有つものが少ない」
"昭和の動乱"(下)重光葵著の書き出しである。●には第一次近衛を挿入。(1937.6.4~1939.1.5)当時を顧みての考察である。70余年後の鳩山由起夫内閣に措き替えても、その通り!である。

自由民主党から民主党へ、政権交代によって誕生した鳩山総理大臣は、与党の権力を一極集中させた小沢幹事長と、共に作り上げた権力構造を8ヵ月余の期間を以って崩壊させた。

その因については云うを俟たぬ、省く。そして5月6日掲載の"日本の政権交代 判決!"で示した菅直人が第94代総理大臣に就任した。希待せざる人物である。前内閣支持率の低下に歯止めがかかり、急上昇。為に、問題山積の国会運営を投げ出し、参院議員選挙を優先させた。(7月11日投票日)重光葵の生きた"動乱の時代"偽政者、指導者は主義・主張が異なっていても、国家運営に私なく、国家とは何か、そして、責任とは何か、を、自覚していたのである。
民主党は激動期に遭遇しながら、自民党と同じで、太刀向う気概なく体質は何も変っていないのである。

何故なのだろうか?
戦後生まれの団塊の世代は各、歳200万人からなる人口構成層である。
敗戦後の貧しさに耐え、希望を抱き懸命に生きた人々の次世代である。戦前に教育を受けた層の下で、生まれながら、民主化教育を受けた世代である。占領時代前半は、極端な左傾化社会であり、独立後もその傾向を内包した侭、民主主義教育の名の下に教育を受けた世代である。この世代が安保闘争を含めた学生運動に没頭した時代(銃こそ使用出来なかったが、激しい暴力行為は、現在、世界で起きているデモ行為に似て社会は混乱す)を潮目に、日本社会は大きく変貌したと考える。
学生運動への参画は、イデオロギーに背を押されたからではなく、大きな畝りの中に身を投じることを、若さの特権と思い込んだのだ。その証として多くの学生達は、イデオロギーに凝り固まった一部を除き、平凡な個人主義者となって日本の底辺を支えて来たのである。
経済成長のなかで、過去に学ぶことを忘れ、国の姿を追求することを忘れ、日本社会が構築されて来たのである。そのなかで、声の大きいイデオロギー信奉者が、政治・教育を歪めて来たのであり、国民はそれに気付くことさえ出来なくなっていたのである。社会に起きる些細な出来事が積り積って山と為り、迷路と高い壁の社会の中で日本人は閉塞感漂う現代に生きているのである。
菅直人総理大臣然り、鳩山由起夫前総理大臣然り、この年代の偽政者に希待することは出来ないのである。菅総理の所信表明は鳩山前内閣の負を背負う意思を表わしている様に見えるが、スローガンの羅列にて、国民が具体的な絵を描くことは出来ない。
彼も"思いあって思想欠く指導者"の類である。
閉塞状態の打破は"強い経済""強い財政""強い社会保障"の一体的立ち直しを同時に行うという。"7つの戦略分野と21の国家戦略プロジェクト"は、その多くが砂上の楼閣。
改革の続行で政治主導を強調するが、国の運営は"止まる"こと許されず、政権交代後の迷走の間、穴を埋めてきたのは継続的役割を担ってきた官僚機構であったことを失念している。官僚を悪の権化と、国民の歓心を買う様は見苦しい。
偏差値の低い者が高い彼らをどう活かすか?が、政治家の重要な課題である。傲慢で、謙虚さなくば良き結果導き出せず。

閉塞感は何処から?
些細にしか見えない事象を見過したり、忘れたり、思考しなかったりすることで、積みあがり空気が重く身にのしかかってくるのである。
ここ1ヵ月間にどんなことが報じられて来たのか、例を挙げ、そこから何が、視えますか。
出生率1.37 4年振り逆戻り
こども手当支給開始、こども1人当り13,000円。扶養控除改訂による相殺で実質支給額は? 民主党は選挙用政策で国民に迎合するポピュリスト集団である。(財源なく来年度完全履行は不可能)
こども手当が少子化を止め、出生率を上げる効果はない。保育所増設等は当然の施策であり、子育て支援も又、出生率に関係しない。
簡単な理屈:結婚しない人が増加したことが直接の因であり、何故、そうなってきたのか検証なくして対策なし。少子高令化社会を前提に政治運営する思考が既に間違っているのである。
児童虐待事が増加する社会へ(この残忍さは、どこからくるのだ!痛ましい!)
赤ちゃんポスト(熊本県慈恵病院)
2007.5開設から2009.9迄に何人ポストに預入れられた(捨てられた)のでしょう! 51人ですって!!
この現象って格差社会故、起こるのですか?
中間所得層統計:
年収600万円-1500万円層は、1997年から10年で(30代-40代)20%減少。減ることは、このクラスの下へ移ることである。599万円-400万円層は増加となり、399万円-200万円台が30%増加。30代で所得層の"山"が500万円-550万円層であったが、10年後では、400万円-450万円層に"山"は移動した。
完全失業率336万人(三ヶ月以上失業中)
生活保護受給人:
生活保護受給者1,811,335人、世帯1,307,445世帯
外国人51,441人、支給総額2兆7,000億円 支給例:夫婦・4才児1人で167,170円/月、母・幼児2人で182,900円/月、夫婦・中、小学生で217,500円/月、不正受給件数18,623件で106億1,798万円(2009年度末)
FTA(自由貿易協定):
世界の国々に関係する経済問題の解決に機能するWTOは、利害調整において効果薄れ、現在は、FTAを相手を特定して双方で協議することを選択。日本は農業問題で常に交渉が難行。これは日本の農業政策に問題があって、厳しい環境下に身を措いて競争するシステムを創り出さない限りFTA締結は難しい。又貿易立国として経済成長は望めない。同じ環境国の韓国は日本よりFTA締結先多く、日本より活力がある。最近の海外大型プロジェクト受注にもその姿勢の結果が現れている。強い経済に直結する。
台湾の経済:
中国には120万人のビジネスマンが渡って活躍している。進出企業は中国で50,000社、1,000万人以上の雇用を創出する。(台湾人口2300万人の約44%)
反面、国内製造業は空洞化現象となり、サービス産業比率が上昇。日本は中国進出企業約25,000社、雇用創出は?(情報としてあるのか?)いずれにしても、日本国内の雇用を大幅に減少させる訳である。現在は中国から離れ、インドをはじめとするアジア諸国へ移るケース増加。
日本企業の海外子会社からの配当金:
3兆1,432億円の配当ですから(95%非課税)純利益は相当大きな額になる訳です。海外進出は国内雇用確保機会の減少、税収の減少に繋がります。新たな雇用創出を声を大にして政権与党は言うが、経済強化は産業(実体経済)であり生産構造の変革、新しい産業の創出でなければ強い経済に成長しない。又雇用も生まれない。医療、介護、年金等は経済強化による税収の増加に加え、増税は特定財源として目的税化し"強い社会保障"とすべきである。必然的に大きな政府になることで良いのですか?
教育:
日本の教育を歪めて来た大きな要因は日教組にあって、政治的中立を求められていながら片寄ったイデオロギー集団は政治行動を起こし、政権は支持容認する。北教組から不正資金提供を受けた小林千代美衆院議員は6月17日国会閉会を以って辞職する。遅い! 又、逮捕された北海教組幹部は有罪判決を受け乍ら、全く反省の姿勢なし。北海道公立学校卒業式に国歌斉唱の時、起立しない教職員がいる学校は96校、入学式68校と発表された。
- 横浜市教組は教育委員会が採択した歴史教科書を使用しない為の教本を別マニュアルとして配布したという。又、行政の資料等を各機関に配送するシステムを利用したという。民主党支持団体の本性である。
菅直人総理の本音:(民主党喜納昌吉参院議員に副総理時に発言)
- 沖縄の米軍基地問題にはタッチしたくない。
- もう沖縄は独立した方がいい。 日本の宰相として許されない発言で、大問題であるが、一部を除き多くのメディアは黙して語らず。何故だ! 毛沢東は、沖縄は中国領土だ。と言った。今頃喜んでいるだろう!
マスメディアは政治家を生かすも殺すも胸三寸。公共物としての使命感も倫理感も希薄になり、表現の自由だけは声高に騒ぎたてる。地に墜ちたジャーナリズム!(日本放送協会は非道い!)
- 首相就任に際して、「靖国神社参拝は何回も行っているが、首相になったのだから参拝はしない。A級戦犯が合祀されているから」まだこんな認識しかないのですか?この発言に自己矛盾を抱かないのですか。菅直人は二重人格で"思いあって思想なき指導者"
(重光葵はA項該当戦犯でした。占領軍の誰もが驚いた。何んで...!)
市民運動を過去、熱心にした事を誇っているが、市民運動程度で国を治むるほど易しからず。
- 先の大戦で亡くなった人:310万余人。そのうち全戦没者概数2,400,000人、このうち全残存遺骨概算114万人(遺骨も遺品もない戦没者)
- 憲法改正は喫緊の課題ではない。
国民投票法案採択時(安倍内閣時)民主党の多勢、社民党、共産党議員は反対票を投じている。同じ穴の狢であり、対等の日米同盟の構築なんて可能だと考えているのでしょうか?
- 北朝鮮の日本人拉致問題について、全力で努力すると発言し、過去にとった行動に対し謝る。これも一部報道機関のみ報じる。これは大阪の原敕晁(ただあき)さんを拉致、その後韓国へ入国し逮捕され、拉致を自供した北朝鮮工作員辛光洙容疑者(無期懲役)の釈放を求める。韓国大統領宛「要望書」に署名、釈放された辛光洙は北朝鮮に帰国後、英雄扱いを受ける。この要望書署名には、村山富市、土井たか子、青島幸男他国会議員含む133名になる。辛容疑者の日本への送還運動もあったが、時の外務大臣河野洋平は動かなかった。(2009.9.1"日本の岐れ路"で日本を貶めた政治家のNo.1である)
時の流れの速きこの時代に、約ひと月の間、この何倍も些細な事象が情報として流れ、消滅しているのである。
これを偽政者は勿論のこと、我々一人ひとりが受けとめて、重光葵の言葉を思い惟(み)ることでしか、この閉塞感を打破する術を見い出すことが出来ないだろう。

次の写真は
2010.6.5英誌エコノミスト(アジア版)の表紙である。
「指導者不在の日本」 言葉とは異なる強力なメッセージである。

みゆるほど 哀しさ溢る つゆのあめ
この季節
"傘かがし"励行して、行き交う人々、気分良く過したいものです。