弊社スタッフが交替でお届けする、ときに鋭く世相を斬り、ときに緩やかにあなたを癒す珠玉(?)の時事エッセイ。お仕事中の息抜きなどにお読みいただけたら幸いです。

2010/11/01 第35回  日本の国土はだれのもの! Ⅱ


日本領海内尖閣諸島近海で起きた中国漁船の密漁、領海侵犯及び故意による日本国巡視船への衝突行為、そして日中両国の対応について"日本の国土はだれのもの!"第34回で述べた。今月はその後の顛末を記さなければならない。
この尖閣問題は、日本の危機であり、日本政府の対応姿勢には、これからの日本の容を世界に示すことであり、毅然たる対応を望む多くの国民の願いが込められていたのである。
菅直人首相の民主党左翼政権は「最終的に外交の方向性を決めるのは主権者たる国民だ」又、「外交は国民一人ひとりが自分の問題としてとらえなければいけない」と語った。この表現は国民に阿たり、国民に対して自らの職責を放棄する理念なき言質である。
この国民って一体誰のことですか?国会議員以外のすべての人を意味するのでしょうか?
此度の尖閣問題での日本政府の対応から、菅直人首相の指す国民を捕まえてみることにする。

海上保安庁が船長を含む中国人15人を拘束、船長を公務執行妨害で逮捕、漁船を拿捕したことは主権国家の権利であり職務を担う国民の義務である。しかし、日本側の執行までに時間がかかったことは、民主党左翼政権にお伺いをたて指示を仰いだからであろう。
政府閣僚からは「国内法に基づいて粛々と対応する」の一点張りの言質しか聞けなかった。流動的状況下で日本国民は、今度こそと日本政府に希待をしていたのである。
(過去のトラブル対処には、国民は常に煮え湯を呑まされてきた)でも国内法ってどの法律なの?理解できた国民はいたのか?

中国の反応は素早かった。政府高官の会談中止、各種団体交流の中止、大規模な観光ツアーの中止等矢継早に発表した。中国漁船員拘束後、当初取調べに対し、密漁、領海侵犯を認めていたという。しかし、中国大使館職員の接見を許した後、彼等は供述を翻し尖閣諸島は中国領だ!と口を揃えて言い出したのである。中国政府の命令伝達であることは間違いないことである。
中国の種々な戦略的圧力に民主党左翼政権は14人の漁船員、漁船を中国に証拠と共に解放してしまったのである。
主権者たる国民の決断とでも言いたいのか?
そして詰めは、ニューヨーク国連で温家宝首相は世界に向けて「尖閣諸島は中国の古来からの領土であり、船長を即時解放せよ。そうでない場合何が起きてもその責任は日本国が負う」と恫喝したのである。
対して、菅直人日本国首相は、オバマ米国大統領の次に演説した。議場満杯転じて、空席だらけのなかで日本国の順番となったのである。本来なら菅直人日本国首相の演説は注目されて然るべき環境にありながら尖閣問題に言及せず、市民運動経歴とか厚生大臣時の業績を自画自賛したそうで、国民にとっては、何とも口惜しく、何とも哀しき情景なり。
戦後、日本国が国連加盟した時の重光葵外相の演説を鏡とする位、日本国の歩んで来た歴史を左翼の眼を通さず正視して学ぶ謙虚さを政の基礎として欲しいものである。

中国は次々と日本国を追い詰める露骨な行動をとる。
ゼネコン、フジタ社員4人を軍事立入禁止区域に入ったとして拘束。人質を確保する切り札を投げて来たのである。
民主党左翼政権は窮地に起った。そこでない頭を使ったのである。
日本国は、自らの力で自国の領土を守る意思もなく、同盟相手に基地提供の見返りに守ってもらうという考え方で、軍事同盟を位置づけ、世界の変化する動きに対応して来なかった。その国が、尖閣諸島は日米軍事同盟の適応範囲である。とクリントン国務長官の発言を引き出したのである。米国は日中間で起きた尖閣問題に介入する意思など全くなく、早期決着を願う米国のリップサービスである。
現状で、米国は中国と事を構えることは絶対にしない。それでも米国は人民元問題、人権問題等では中国にもの言う姿勢を維持している。米国には強大な軍事パワーが頑として存在するからである。日本政府はない頭を絞ってクリントン国務長官保険の保証を確認したつもりで船長を解放したのである。
その開放に至るまでの民主党左翼政権の菅首相、仙石官房長官はじめ、関係閣僚の態度に日本国民はただ唖然とするばかりであった。
この問題は日本国の危機であり、日本国の姿勢、容をはっきりと国の内外に示す千載一遇の天から与えられた機会であったのである。しかし、稚拙外交では、日本の国家像を米国のみならず中国と領土問題を抱える国々に理解されるはずがない。

船長釈放決定に検察庁地方機関である那覇地検次席に日本国の弱点をすべて曝出させ、一地方地検単独決定という策を弄したのである。次席の上に検事正がいて管括する地域高検があって最終的頂上は検事総長である組織は、すべてこの次席に責任を負わせたのである。勿論、菅首相、仙石官房長官の指示の上で事を運んだのであるが、ここでも民主党左翼政権の誰もが責任を逃れ、この重大な国家の危機に臨み、毅然たる姿勢もなく、決断することもなく、国民に説明する義務も放棄し公言通り「最終的に外交の方向性を決めるのは主権者たる国民だ」として、国民に責任を転嫁したのである。
検事も国民であり、フジタ社員も国民であり、海上保安庁保安官も国民であり、国会議員以外でこの問題に直に絡んだ人はすべて日本国民である。その日本国民は、この尖閣問題の日本国民主党左翼政権の問題解決は誤りである。という世論調査結果が出て、支持率の大幅低下が見られる。この両者の整合性をどう説明できるのか?
仙石官房長官の「彼等の判断を了とする」なる発言に国家運営を委ねることは、主権者たる国民は「了」とするのですか。

「尖閣諸島は日本古来の領土であり、日中に領土問題は存在しない」と叫んでみた所で、主権であるとする中国と外交という国益と国益のぶつかり合いにおいて、菅直人民主党左翼政権の稚拙な外交で日本国の主権を守ることは不可能である。
事件発生から船長開放までの過程で中国側に毅然たる姿勢で臨もうとすれば、釈放という切り札の見返りに、中国の経済的報復措置の撤回、衝突された巡視船への修繕費を含めた損害賠償の要求と約束を獲る等条件闘争を何故しなかったのか。
又、観光旅行のキャンセルに対するキャンセル料の請求やフジタ社員拘束の納得のある説明もなく、立入り禁止区域でのビデオ撮影という理解できない理由で人質を獲った狡猾な国家戦略に対して、本来、中国に向けた不必要な遺棄化学兵器処理事案を凍結か中止すると宣言する位の対抗措置をとるべきであったのである。(誤った歴史認識から日本が遺棄したとして事案を推進したのは河野洋平、加藤紘一)又、衝突場面を撮影したビデオを世界に向けて公開すべきであったのだ。

米国と中国との関係の深層部分を読むこともせず、米国の軍事力に依存しながら中国とどう対等に戦略的互恵関係(どういう関係なのか全く理解できず)を結んで行けるのか。軍事力を一応維持している日本国であっても、それを活かす法整備も戦略もなく、経済面では中国依存を抜きに日本経済を語れない時代にしてしまった今日、中国の政治体制は常に「商を以って政を包囲する」戦略を外したことはないのである。(中華の歴史を学ばずして戦略は企てられず)
既に30,000社以上の日本企業が中国へ進出(米国は50,000社)中国経済発展に寄与しながら"政"を制されてしまう現実を日本国政府、国民も冷静に振り返る必要があるのである。
船長を解放して数週間経過しても尖閣問題の火は消えず、中国の都市で反日デモが大規模に行われている。中国の民主化を唱え、逮捕服役している劉暁波氏にノーベル平和賞を贈るとしたノルウェーに対し、恫喝する中国。嘗てナチスドイツはドイツ人のノーベル賞受賞問題でノルウェーを恫喝したが、今回同様屈しなかった。民主主義の原点である。米国の発言に追随して釈放に言及した菅首相の言に「内政干渉」という中国。日本も一度ぐらい、それは「内政干渉」であると言え。

国家観なき者は為政者のみに非ず、国民にも喪失した時代となっているのである。その例としてフジタ社員の解放の記者会見にも顕著に表れている。迷惑をかけて申し訳なかった。という謝罪は一体誰に対しての言葉なのか。尖閣問題で緊張関係にある日中間で、日本国益を求める手段を無にする行動であった事の認識がないのである。拳を上げても何の手も打てない民主党左翼政権にとっては、人質に獲られたことは、幸いだったんでしょう。(国民(フジタ社員)を解放してもらうために。船長を解放し手打をする為に。)

日本国は国家観を取り戻し、中国の世界秩序を乱す専制横暴振りに、正面からもの言う国家にならねばならない。その結果、中国人の反日、嫌日的行動が反政府運動に向かう事を恐れる時に、中国政府は真摯な姿勢で日本国に接するのである。尖閣問題は日本国、国民の問題である事を確認し、日本国は変って行かねばならないのである。

激動、変革する世界のなかで、国家観なき市民運動家、自称人権派弁護士連で日本国を毅然たる姿勢で、法を粛々と執行することなど出来っこないのである。総理大臣は間接的選任であり、国民の直接的な支持を得ていない。従って、国民の期待が何処に在るのか思考せず、国民、市民の為の政治と表現する事によって、国家観を喪失した国民を欺けるのである。
菅総理大臣の表現する"国民"は捕え様のない日本人そのものである。そして総理大臣の後には、常に国民がいないのです。故に国家観なく、リーダーシップ弱く、腹を据えて取り組む意思なくとも政に関与できるのである。
尖閣問題は日本国、国民の問題として突きつけられた剣先である。逃げることなく、変って行かねばならない大きなチャンスである。

この侭だと確実に尖閣諸島は盗られる。先ず今回のように漁船を装い訓練された民兵が先導役として乗り込んで侵略開始である。
中華世界の常套手段である便衣兵達が歴史を捏造する先兵となるのである・・・・・・
(10月25日記)