弊社スタッフが交替でお届けする、ときに鋭く世相を斬り、ときに緩やかにあなたを癒す珠玉(?)の時事エッセイ。お仕事中の息抜きなどにお読みいただけたら幸いです。

2011/11/01 第47回  日本の次世代って?!


3月11日の大震災・大津波そして原子力発電所事故の複合的災害は、日本国敗戦後66年間で最大の国難である。
この大被災からの復興には、日本人一人ひとりが自らの立つ位置で受け止め、関与して行く事が求められていると考える。
復興に最も大事で不可欠なものは何か?
復興費であることは言を俟たない。
民主党三代目 野田政権は、復興費の財源をさまざまな増税、そして10年償還の復興債の発行を以って調達するという。(野党の抵抗で15年案とする)その理由は:「次世代にツケを回さない」と耳障りのよい、極めて曖昧なフレーズに終始する。
この「次世代」とはどう定義すればよいのか考えなくてはならない。辞典による解釈など現実社会には適応しない。受け止める年代によって捉え方に相違はあっても良いが、日本の将来に対する「次世代にツケを回さない」では、為政者は曖昧な言い方ではなく、現代社会が擁える問題点を織り込んで将来像を理念、国の指針として表すべきである。

当月はこの「次世代」とは?考えることによって為政者の言う次世代が明るい未来なのか、それとも今を大きく変革しなければ次世代への展望がみえないのか、を導き出せればと考える。
まず、復興費償還10年~15年は果して「次世代にツケを回さない」時間軸なのか。
暗い事ばかりの昨今、大震災で親を喪くした子供の為に、大学進学支援の「みちのく未来基金」を中堅企業ロート製薬、カゴメ、カルビー3社が40億円を供出して設立した。大学、短大、専門学校に入学する遺児に入学金、授業料、学費全額、300万円支給、通年200人位と想定、震災時0歳の子が大学院卒の25歳の時空を想定する。という。
この基金構想から次世代とは、少なくとも25年スパンで考えるという例だと考える。この3社の英断に敬意を表する。
次に将来に問題点となりうる現実を挙げてみる。

◎ 日本国の抱える国及び地方の債務残高(2011.4.1)
国・地方の債務残高1148兆5061億円9,007,185円/人
長期債務881兆5420億円6,913,513円/人

◎ 国民総生産(GDP)
実質2011年3月   537兆3560億円
2005年3月   536兆7620億円
(2008年まで上昇、2009年から下降し2011年実績となる)
1980年3月   284兆3750億円
名目2011年   469兆5450億円
1991年   469兆4210億円
(20年間ほとんど成長していない証である)
ドル換算2011年   5兆8550億ドル(世界3位)
1991年   3兆4840億ドル
中国は2011年5兆8780億ドルで世界第2位となる。
日本はこの20年間、成長しなくともドル換算で大きく増加した事は「円高ドル安」で推移して来たからである。

◎ 人口の推移(推定)(万人)
2000年2020年2030年2040年2050年
年少人口( 0歳~14歳)1,8281,5101,3231,2021,084
生産人口(15歳~60歳)8,6147,4456,9586,0995,389
老齢人口(65歳~ )2,2873,4563,4773,6333,586
人口に占める老齢人口比18.0%27.8% 29.6%33.2%35.7%
老人1人を支える人数3.6人 3.4人3.0人2.8人

◎ 都立高校在籍者数  2007年入学2009年卒業 入学時の ▲8.1%

日立製作所は2011年、2012年に20歳代~30歳代前半の社員
3,000人を1ヶ月~3ヶ月 海外派遣
2010年度連結売上高に占める海外売上比率43%を
2012年度連結売上高に占める海外売上比率50%超に対応するために

タイ国の洪水被害 日系企業460社(10月22日現在)に達した。
操業停止、回復見込不明、サプライチェインの崩壊は東日本大震災を超えるだろう。(企業の海外進出のリスク管理への警鐘であり、治水事業は今後のビジネスチャンスたり得る)

生活保護世帯 148万世帯受給者200万人超
支給総額 2011年9月 3兆70億円
(外国籍での受給世帯 全体の約3%)
2011年には自殺者年間30,000人、13年連続で超える状況

11歳の男児に物乞いをさせた父親逮捕(吹田市、父親は車中で監視していたという)

幾つかの現実を挙げてみたが、日本にはまだまだ問題は山積している。
日本国は借金大国である。国民の貯蓄がそれに匹敵するだけ有ると言うが、個人が国の借金を直接肩代わりして返済することはない。故に国は手練手管を弄して収奪する。
国・地方の債務は税収を以って削減しなくてはならないが、経済不況が長期であり税収が伸びず、支出を賄い切れない。経済政策も無為徒食に歳月を重ねて来た故に増税する外手段がないのである。
企業は海外進出し、日本の産業空洞化の兆候はこの長期不況の20年間に誰の眼にも現実として視えはじめた。時、既に遅し。日本人の出生数が減少、生産人口が減り、老齢人口が増加、税収が減り、借金を重ねてまで国が国民を甘やかして来たツケが現在であり、次の世代の何時迄続くのか分らぬ先々までツケ回して行くのである。

学校教育は将来を見据えていない故にグローバル化に適う人材育成が出来ず、すべて企業、個人の努力に委ねているのである。その反面、不況時でも就業に贅沢な夢を追い、社会が悪いと働かずに生活保護の受給で時を費やす若者20歳代~40歳代も存在する。独身で生活保護+簡易宿泊所費用+国保・国年金+医療費で約20万円はかかるようである。これすべて税金である。
産業の空洞化は日本人の職業選択を狭くすると同時に業種によっては、人手不足を生じさせている。結果、安い労働力を海外に求めた産業界だけではなく、国内産業にも安い労働力を求める状況を生み出した。現政府は外国人に永住権を安易に与え、更に将来観光人口増加も視野に、出入国2,500万人時代を想定。
「出入国管理行政検討会議」(有識者会議)は入国審査官の増員、施設拡充は困難のため、「無人化の自動ゲート」を考えよと提言した。

日本国の政治家は、自民党も含め、国の領土、国境に対する国家観が希薄のため、それが教育に、そして学者、官僚や政治家の思考に反映、この様な提言が出る、極めて危うい国柄となっている。出入国審査は国境を越えるという厳しい現実の現場である。
何と恐ろしい提言であろうか。

戦後の政治において民主党への政権交代は、民主的無血クーデターの如く大改革であったと考えるが、その後の政治運営を省みれば、自ずと結論は導き出される。綱領もない政党に多くの国民は将来を託した愚を犯したのである。
野田佳彦総理大臣54才、前原誠司政調会長49才、玄葉光一郎外務大臣47才、安住淳財務大臣49才、枝野幸男経産大臣47才、古川元久国家戦略・経済財政、税収改革担当大臣45才、蓮舫行政刷新、公務員改革担当大臣43才、細野豪志環境・原発担当大臣40才、野田政権18国務大臣のうち半数が50代3人、40代6人で占める。
民主党鳩山由紀夫、菅直人、小沢一郎世代からみれば彼らは政界での次世代に充たるのだろうか?
野田佳彦総理大臣は自らを保守系という。そして地道に政策を遂行して行く努力をする。一歩一歩交互に。だが時に応じて左足を大きく踏み出さなければならないと謂う。これって反対でなければならないのである。戦後の日本国は右足の存在を忘れ、左足に軸足を措いてきた結果が現実の日本である。その一例を二つ。
玄葉外務大臣は鳩山由紀夫元総理大臣が普天間米軍基地移設問題を拗らせた。その修復に沖縄を訪問して、沖縄駐留米軍トップに津波等の大災害の時、米軍基地を避難場所として提供するよう協定づくりを要請した。移設問題の解決策の糸口も思考できない政権が、日本の安全保障の重要拠点である沖縄県、しかも米軍依存の日米安保体制下で米軍基地の重要性を認識しているとは考えられない。先ず、沖縄県の地政学的位置付けの重要性を沖縄県民に訴える事から始めよ!
米軍基地の問題以前に日本国の問題として、自衛の観点から国家観を確立することである。災害時に避難場所・・・・の発言は、沖縄県民の問題意識を逸す愚言である。又、鳩山元総理の基地移設は「最低でも県外」と表明したことは、間違いだった。と発言するが鳩山氏の周辺が怒っていると伝わると野田総理は謝罪、玄葉外相は言い訳をする。これが次世代を担う政治家のホープか?

前原誠司政調会長:韓国へ行って慰安婦問題を政府見解(日本国)と異なる「人道的観点から考える余地がある」と発言。昭和40年日韓基本条約に伴う協定で「完全かつ最終的に解決」を韓国側も認識していながら、国連へ持ち込んだり、反日の材料にする極めて狡猾な国家への日本国益を損なう発言である。中国の軍事力増強は日本にとっては脅威であると発言した同一人物とは思えない。この人も次世代の政治家か?!

稚拙な日本の政治運営は、日本の最大の同盟国米国と普天間米軍基地移設問題で拗れ、日本が米国の対日戦略を受け入れざるを得ない環境を作った事に外ならない。次世代に向けて!
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加(実質的には日米2国間協定であり、米韓FTAでの韓国の現状は?!)
武器輸出三原則緩和
南スーダンへの国連平和維持活動PKO陸上自衛隊派遣(武器使用の件未解決のままでか?)
BSE(牛海綿状脳症)問題の米国産牛肉輸入規制の緩和
国際結婚の子の親権に関するハーグ条約加盟(DVドメスティックバイオレンスから母子保護の観点から反対が根強いが)
次世代FX(第5世代戦闘機の選定)自国防衛に戦略なく、米国の戦略に組み込まれる可能性大である。

3月11日から既に230日が過ぎ、東日本太平洋岸に沿う被災地には、自然の強大な力の爪痕を遺す国土が現実として存在するばかりで、そこに暮らしていた日本人は何処へ行った?
流れ行く日々の間に多くの日本人の心に3月11日は過ぎし日になってはいないだろうか?
何故って!被災地に復興エネルギーを感ずることが出来ないからである。復興には資金が要る。被災者に責任は一切ない!という日本国家としての政治哲学が欠如しているから何事も遅々として進まないのである。(精神論では最早復興は出来ない!)

挙げた問題点は現代の社会の一面であり、それは過去から現在へ、そして将来に繋がっているという事を認識しなくてはなりません。従って民主党に限らず政治家の謂う「次世代とは」10年程度のスパンではなく、現代の負の遺産は現状が続く限りツケとして回されていくのである。理念もなく、時を区切れずに「次世代にツケを回さない」は詭弁である。
故に今、日本国は戦後の体制を検証し、大改革を実行する精神の再構築をしなければなりません。(2011.6.1 第42回 救国内閣だ!参照されたし又、この築城通信はすべて一貫してそれを訴える内容であり、総花的になっていますことをお許し頂きたい)

最後に米オバマ大統領の認識
米韓同盟は「米国にとって太平洋地域の安全保障の礎石」と言わしめた。過去に同じような言葉を聞いた憶えがありますネ!韓国は太平洋に面していない半島である!