弊社スタッフが交替でお届けする、ときに鋭く世相を斬り、ときに緩やかにあなたを癒す珠玉(?)の時事エッセイ。お仕事中の息抜きなどにお読みいただけたら幸いです。

2016/04/01  第100回  世界危機のなか「次代の日本をどう築く」


築城通信は回を重ねること100回、八年余月初を以って掲載する事、怠たらず、拙い文章は理解、認識できずに分らぬ点多々あったと考える。
それは、「独り」言いたい放題的記述であったことご容赦下さい。
100回という大きな節目に過去のテーマと異なる内容にと思いながら今も続く日本の危機に一言、言わずにおれないのです。


人間の住む地球という星を科学の枠を結集した宇宙開発を通して見ると「地球は円い!碧い!」と感嘆する声を多く聞いた様な気がする。沢山!
科学機器・装置を通して地上で見る映像と宇宙で人間の眼に映したものとの違いは大いにあると考える。
宇宙から映る地球の様々な動き、変化は宇宙開発による科学技術の進歩に役立てるばかりでなく、地上の人間社会の安寧の為に活かせる事はないのか。宇宙開発参加国は思想、哲学を共有して欲しいと願っている。
宇宙船に乗務する飛行士のなかに、喩えば、“福澤諭吉”を宇宙に放ったらどうだろう!
何を感じ取ってくれるのか?


世界のなかで※1「次代の日本をどう築く」のか?
世界を拡げてみれば、点の一つひとつ問題が、我国日本に関係せずにおかぬ時代になっていることが理解されるはずである。


今、世界広しと雖も、平和を享受し、安心、安全を保っていられる国家は、島国日本を措いて外無し!
その様に思うのですが、果して皆さんはどうでしょうか?


今の国会をみてごらん。議論の中味は稚拙なる言説に終始、唯々、権者(政権)を責める為に存在感を誇示する野党集団で、そこに福澤の説く「ナショナリズムを最高のモラル」と感ずることなど存在しない。
議員の不勉強さは与野党問わず目に余る。又、議論の場を穢して、そこには人としての誇りすら喪っている。選挙権年令の引き下げ、被選挙人立候補年令引き下げなど、など、ポピュリズムの氾濫である。
これも平和ボケした戦後の冷戦後、知的人間といわれる日本人の標準化された姿である。


社会は時と共に流動化、経済も政治も然りである。
従って、その中に住む人も日々変化、活発に変動している環境で生きているのである。
しかも、ミクロ的な動きを情報源とし、デジタル化された社会の中で動いているのである。アメリカ社会を倣ったが故に、日本人は長期的戦略に哲学の不在を招き、将来を描き、それに向う気概も喪失してしまったのである。
そして、堺屋太一は「日本最大の危機は、社会の循環を促す社会構造と若年層の
人生想像力の欠如、つまり「やる気なし」である」
「欲ない、夢ない、やる気なし」=「3Y世代」という。


政権が “1億総活躍時代”“待機児童ゼロ”“介護離職を無くす”等々掲げる旗は、達成の難しい目標であることを冷静に思考すれば分るはずである。
それを、重箱の隅を突っつくが如く、責め立て、何故実現が難しいのか、どうすれば実現に近づくのか、リアルに物事を掘り下げようとしない。

待機児童が全国に77,421人(2015.10月現在)程に増えたと大騒ぎするが、保育園建設に“こどもはウルサイ”と申して反対する住民集団も現われる。
これらの住民を大騒ぎする野党のセンセイ方!説得してごらんよ!
貴殿方の大好きな隣国、中国で農村から出稼ぎに出た親と離れて農村で暮らす“留居児童”の数は何と!6,000万人ですって。


日本の政界人、経済界人、ジャーナリスト、学者等文化人の世界には、中国を好む人達が大勢いる。
だが中国の実態、長期的戦略に添った諸施策実行には、何を目的としているのか、それが日本にどの様な影響を与え、「次世代の日本人がどのような日本を築いたらよいのか?」その為の基礎づくりに親中派人間は何ひとつ貢献していない。


前述した「3Y世代」の危機ともう一点最大の危機要因は“中華人民共和国”の世界覇権戦略である。
誰もが識るアメリカ・オバマ大統領の二期8年の統治はアメリカを弱体化させ、とんでもない大統領候補(ドナルド・トランプ)を生み出す背景を作り出しただけでなく、オバマ大統領の不用意な発言「世界の警察官」放棄宣言が引き金になったのが、今の世界の混乱の源である。

オバマ大統領の発言以降積極化した中国の南シナ海九段線内を自国領海とする国際法無視の傍弱無人振りは目に余る。
九段線を初めに引いたのは台湾の蒋介石国民党政権である。故に中国は1つと頑なに主張し、身勝手な論理を展開する。
「中国は1つ」のお墨付きを与え、台湾を国連から追放し棄国にしたのは米国である。
南シナ海は“航行の自由”の公海であり、領海域、EEZは国際海洋法に認められる各国の権利であるが、それ以外の公海まで占有する論理と実効支配は許されるものではない。
この南シナ海での中国の振る舞いを挙げたら、紙幅が尽きぬ程ある。
この南シナ海問題は何れ、東シナ海尖閣諸島問題に発展させる事、疑う余地なし。
南シナ海:日本の石油の80%、天然ガスの30%、貿易輸入資源の80%前後が通過する海域であり、その距離12,000㎞は長大な海上交通路(シーレーン)である。
この南シナ海の「航行の自由」を確保することは日本国が守るべき安全保障に該当する大問題である。中国は更に南シナ海の空域に“飛行の自由”を阻止する挙に出るだろう事は予想すら出来る。

インドネシアの監視船がインドネシアEEZ内で中国漁船が違法操業していたのを摘発、漁船を押収えい航中、中国公船が体当たりし、他の公船が漁船を奪取、更に乗組員を引き渡せと抗議。
中国政府曰く:「そこは伝統的な中国の漁場だった」ので漁をして何が悪い!の如くである。

南シナ海でのスプラトリー諸島(南沙諸島)、パラセル諸島(西沙諸島)は中国が岩礁埋め立て、人工島を造成、習近平国家主席は軍事化しないと公言、それに反し、人民解放軍(共産党軍)が着々と軍事拠点化している。
そのスプラトリー諸国(南沙諸島)は嘗て日本の領土だった事を知っていますか?
平田末治という日本人が発見した島々だ。
1937年、新南群島と名付けられ、日本の領土だった台湾・高雄市の管轄下に入った。つまり日本の領土だった。
大日本帝国海軍の潜水艦基地も置かれていた。
1939年刊行の文部省検定地図に新島群島という名称で載っている。
(南沙諸島)古いアメリカ地図には平田が発見した島ということで「ヒラタ・アイランズ」と記されている。今は人工島を建設した中国の7つの岩礁に囲まれるように太平島を台湾が領有し、台湾軍、警察が駐屯している。

2002年東ティモールは独立。日本は独立前から国づくりを支援してきた。
1999年東京で東ティモール支援会議を開催、当時小泉首相が同国を訪問。インフラ整備支援を国連ミッションに延べ2,300人を派遣。
しかし、中国は独立後大統領府、火力発電所を建設「眼に視える支援」を展開し、将来AIIB参加に誘導する。地政学的にオーストラリアとインドネシアの間のシーレーンに位置、しかもガス田など地下資源もあり開発に積極的意欲を見せる。
この戦略を南シナ海の覇権に組み込む狙いである。
又、中東・アフリカ大陸を経るシーレーンに立ちはだかるのは不仲であるインドである。従って、香港~ポートスーダンまで延びるシーレーン戦略を“真珠の首飾り”と称され、南シナ海-マラッカ海峡-インド洋-ペルシャ湾に港と空港へのアクセスの有利性確保の為に“金の力”でシーレーン沿岸諸国との関係を拡大させインドを封じ込める戦略をとる。

“一帯一路”構想は陸・海路両面作戦であり、特に陸では AIIBの最大利用を目論んでいる。海の場合は覇権に直結すると受け取られるが陸路に関しては社会インフラ整備で当事国の経済発展に寄与するという大義を振りかざせる。
しかも、性質の悪いことには、日本が下地を構築した後に“金の力”で“目に見える形”で甘い汁を吸う国である。ミャンマー特区(ダウェィ経済特区)インドネシア高速鉄道建設など挙げたら限りなし!


この中華人民共和国は中国共産党の看板を降ろさずに資本主義を採っていることである。
社会主義市場経済である。
社会主義経済は市場経済ではあり得ない。
市場経済は社会主義経済ではあり得ない。
その両者を無理にくっつけたのである。
今、中国経済の低迷が世界経済に大きく影響している。その原因の一つで世界の金融危機引き金になったのは、昨年発生した上海市場での株価暴落である。
自由市場(資本主義)であれば株価が暴落しても原則として株の売買は自由に任せる。その結果に耐えられる仕組みになっている。ところが上海市場では当局の介入、取引停止、売買した人を逮捕するという。
自由市場、自由経済でもなく、似非市場経済、疑似資本主義経済の何ものでもない。
その国に通貨 元 を国際通貨(SDR)(ドル、ユーロ、ポンド、円)の仲間入りを、その条件をクリアーしていないまヽ、英米は認めてしまったのである。
習近平国家主席の訪英、訪米、訪仏時の何兆円もの爆買効果だろうか?(全人代では海外旅行した中国人の爆買を批判した)
中国の元は共産党の一存で刷り増し、他の国際通貨に替えられ、使われ、それが地球を侵蝕するのである。英米の罪は大罪なり!
今、石油輸出国になったアメリカの弱体化を背景に石油売買の元建て決裁を目論む。
(イラクのサダムフセインは石油取引をドルからユーロに替えようとして、アメリカに潰されたのである)元の対ドルスペック制は中国の輸出入に於いて常に有利さを保つ仕組みになっている。
為替市場を変動相場制にしてこそ世界の仲間入り可能な条件になるのであるが、それを言う国が何処に存在するのか?日本政府をはじめとして!


中国を世界の工場に育てあげ、その上外貨準備高をだんとつに積みあげさせた。(世界2位の日本のそれの3倍)(実際には公表額より大きく下回るらしい)
その外貨を共産党は戦略費として自由に使えるのである。※2国有企業を通して世界の企業を買収し、更に土地を買い漁り、実体として小国の独裁国家まで買収してしまうのである。(ラオス、ミャンマーなど)


今回の中国全人代最大の特徴は
習近平国家主席・共産党総書記の独裁統治を強固にしたことである。
今や、地球は情報社会のネットワークの中に収まっていて様々なシステム、機器によって情報は速度を上げて伝播していく。中国も例外ではないが、一枚の映像、一言が共産党独裁国家の崩壊を招くことを識っており、共産党及各々の権力者の保身の為に国営メディアを服従させ“言論の自由”の束縛、抑圧の強化を鮮明に打ち出した。
その為に軍事費に匹敵する程の予算を公安部門に充て、情報社会の制御・抑圧強化を図る。そして社会主義市場経済を堅守する方向を明確にしたことである。
今の中華人民共和国にとって恐れ、畏れる国などこの地上の何処にもないのである。


中国は何処に向って突き進んでいるのか?
社会主義、共産党理論を基に中華の覇権を求め、狙う怪物に育ててしまったのは、戦後では米国元大統領ニクソンとその側近のキッシンジャーの二人である。
そして北アフリカ・中東のエジプト、リビア、チュニジア、シリア更にウクライナの民主化を煽り独裁者を倒したりしたが更なる混迷を深め、内戦激化、国家体制を為さなくさせIS(イスラム教スンニ派過激組織)を肥大化(元サダム・フセインの軍人が参画)させ北アフリカ、中東を震源地としてEU圏にまで深層の淵に陥入れてしまったのである。
その因は米国オバマ大統領の不用意な言葉「シリアのアサド大統領が化学兵器を使ったら“レッドカード”だ!」である。(使用したがオバマ大統領は動かなかったのだ)


アメリカという国は、紛争を輸出する大国であるが責任をとらぬ国家である。現実には強大な力を維持する国でもある。その国が造りあげたもう一つの怪物中華人民共和国と米国はどう対峠し、新しい冷戦構造を地球規模で平和な社会を構築する責務を認識しなければ他の191ヵ国は救われない。


日本での三権の動きや、日々動く社会現象は世界の危機とは全く次元の違う世界の中で発生しているように感じてならない。
こんなことで良いのだろうか?
今、世界は危機状況にあるということを日本人は認識しなくてはならぬ!


参考文献 紛争輸出国アメリカの大罪 藤井厳喜著、祥伝社新書


1 福澤諭吉の「文明論の策略」第1案「議論の本位を定める事」に中に「次世の日本をどう築く」を思考する為に必要なことは、
「利害得失」「軽重是非」の判断は難しいが、一身の利害から国家のことを断じたり、眼前の「便不便」で将来を論じたりしてはならず、「多く古今の論説を聞き、博く世界の事情を知り、虚心、平気以って至善の止まる所を明にし、千百の妨得を犯して世論に束縛せうるることなく、高尚の地位を占めて前代を顧み、活眼を開いて後生を先見せざるべからず」こうして定まった「本位」でなければ議論すべき価値はないという。
(渡辺利夫論考「ニヒリズムの蔓延を食い止めよ」より

2 スイスの農業科学大手シンジェンタを中国化工集団が440億ドル(5兆円)
カナダの石油大手ネクセンを中国海洋石油が150億ドル(1兆7,000億円)
米テレックスは長沙中連重工科技発展(半国有)に買収提案される。
他にもイタリアのピレリ(タイヤメーカー)(世界シェア4.4%)を73億ユーロ(9,300億円)で買収
中国と香港の企業が豪州の牧場経営会社の10カ所の牧場買収を計画。
(韓国と同じ広さで、豪州全土の1.3%を占める。豪州政府は国益に沿わないとして売却の承認を拒否)

中国の買収はその全んどが国有企業であり、未払い、税引き、償却前利益の数十倍の債務を抱え、通常では買収行為など、不可能な財務内容である。
それが可能になるのが共産党独裁国家の政治的戦略の所似なり。